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秋の森で過ごす時間が、なぜ体に響くのか

著者: 森田 悠子 — ファシリテーター、
温かい日差しの中、木々の下に列を作って座る人々。

紅葉の季節に森に入ることで、体と感覚に何が起きているのかを考える

秋になると、森の中の空気が変わります。葉が色づき始め、地面に落ちた葉が湿気を含み、独特の土の香りが立ち上がります。この季節に森に入ることは、夏や春とは異なる体験です。なぜ秋の森が、特に疲れた体と感覚に響くのかを、SilverWildwoodのプログラムを通じて感じてきたことをもとに書いてみます。

葉が落ちる前の森の静けさ

秋の森は、夏の森より静かです。鳥の声が減り、虫の音も少なくなります。葉がまだ枝についている時期は、風が吹くたびに乾いた葉の音がします。この音は、夏の青葉が揺れる音とは質が違います。乾燥した葉が擦れる音は、どこか内省的で、聞いているうちに思考が静まっていく感覚があります。

長野の山間でリトリートを行うとき、参加者の方々が最初に気づくのは、この「音の質の変化」であることが多いです。都市の音に慣れた耳が、森の音に切り替わるまでに、だいたい半日かかります。

秋の植物が持つ香り

秋に森に入ると、腐葉土の香りが強くなります。これは落ち葉が微生物によって分解される過程で生まれる香りで、土の中の有機物が豊かな場所ほど濃くなります。この香りに触れると気持ちが落ち着くと感じる方もいます。

SilverWildwoodのリトリートでは、森の中を歩く時間を意図的にゆっくり設計しています。目的地を決めず、立ち止まることを許可する歩き方です。この歩き方が、普段の「目的のある移動」とは異なる感覚をもたらします。

秋という季節が促す、内側への視線

日本の秋は、農耕文化の中で「収穫と整理」の季節として位置づけられてきました。実りを確認し、不要なものを手放し、冬に備える。この季節のリズムは、現代の暮らしの中では意識されにくくなっていますが、体はまだその記憶を持っているように感じます。

リトリートの参加者の方々が、秋の回に「今年を振り返りたい」という言葉を使うことが多いのは、この季節の性質と無関係ではないと思っています。森の中で過ごす時間は、その内側への視線を、静かに後押しします。

秋の森に入ることは、特別な準備を必要としません。ただ、少し時間をかけて歩くことと、立ち止まることを自分に許すことだけで、体の感覚は変わり始めます。

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